優先順位

みなさんは人生を生きる上であらゆる選択を迫られた際、優先順位を決めて決定を下していますか?

私は昨年春のリブランディングまで、その優先順位が曖昧な状態でした。

優先順位が曖昧な状態だと、どういうことになるのか少し振り返ってみたいと思います。

ハンドメイドで商品を販売するようになってから約 8 年。

当初はすべてにおいて自信のない私は小さな範囲で細々とした活動しかできていませんでした。

はじめはママ友に依頼されて作ったり自宅駐車場で友人に手伝ってもらいながら一緒に小さなマルシェを開いたり、先輩作家さんにくっついてお友だちやお知り合いが集まるところに一緒に出させてもらったり。

そんな状態が 1〜2 年続きました。

しばらくして外のイベントにも出店してみたいという気持ちが表れました。
けれどそのときも一人では不安だったので、また別の先輩ハンドメイド作家さんにお供させてもらいました。
毎月、定期的に開催されている地元のハンドメイドマルシェでの出店だったのですが、一つのブースをシェアさせてもらったのが最初のお外デビュー。

そのおかげで出店の際の勝手が分かったので今度は一人で出てみようと勇気を出して単独で申し込みました。だけどやっぱり不安だったので家族を引き連れての出店。
なかなか一人での出店ができず、気持ち的には家族で休日のレジャーを兼ねて……くらいのノリでした。

しかしそれだと出店できる場所も限られてきます。
何時間も連れ出している代わりに何か買ってあげたりして子どもの機嫌を取ることも必要ですし、場所によって帰りは外食することにもなる。子連れでも出られるイベントとなるとバイヤーさんが訪れるような本格的なイベントにはまず申し込めません。

これでは出店している意味がないと感じるようになり、慣れてくると子どもたちはおばあちゃんに預けて夫婦だけで出るようになりました。

出店先で知り合いが増え始めるとトイレに行くときなど隣近所の作家さんに少し見ておいてもらえるようになり、なんとか一人で出店できるようディスプレイもコンパクト(軽量)化し、大きめのキャリーカートを購入して一人出店も叶いました。

そうなると今まで出店していた場所とは少しレベルが違う(高い)イベントにも申し込みできるようになります。そして晴れて審査に通って出店するようになったら、今度はセレクトショップさんや他の出店者さんからPOP UPのお声がかかるようになりました。

はじめは思いがけないお誘いがうれしくてチャンスを逃したくない気持ちが先行し、後先考えずにすべてを引き受けていました。

駆け出し作家がこちらから出店できる期間を指定できるはずもなく……。最初の頃は先の予定など何も決まっていなかったのでお誘いいただく案件をそのまま受けても余裕で回せていたのですが、段々と出店やPOP UP期間が重なるようになり、それが続く事で毎回、新作を用意しなければならず徹夜で商品を製作して納品する……の繰り返し。

家族にも負担をかけていたし、子どもたちにも我慢をさせました。

もちろん自分もいつもヘトヘトで、終われば一定の解放感があり達成感も感じられるのですが、いつになったらこの焦燥感から解放されるのだろうか、いつまでもこんなことを続けていけるのか、という不安な気持ちに苛まれることもありました。

始めた頃は30代前半で勢いもありましたが、年を追うごとに体力的にキツくなっていきます。

子どもの学校でPTAの本部役員をしながら週3〜4日のパートに出てハンドメイドの出店をこなす日々。
“このままじゃ続けられなくなる”そんな風に思い始めてから、ふと冷静に周りを観察するようになりました。

そうすることで、いろんなことが見えてきたのです。

ありえないスピードで商品を出し続ける人はとても器用でその製作が職人並みな人か、一部の工程を外部委託している人、数人の仲間で取り組んでいる人(家内経営もここに入る)、元々、製作に手間のかからないものを作っている人、同じものを量産している人。

手間暇かけて心を込めて一点一点作っているからハンドメイドという認識だったのが少しずつ崩れていきました。

私のように完全にすべてを一人でこなしていて一つ一つ時間の掛かるものを作っている人は、むやみに出店していないことにも気付きました。

何より私は一番大切な家族を後回しにしなければいけない状況に疑念を抱かずにはいられなかった。

家族で過ごす時間も大切にしたいし、子どもたちの成長もきちんと見ていたい。

まぁ今でもキャパの小さい私は子どもたちの話を流し聞きしてしまうことが多いのですが……。

“キャパシティが小さい”

だからこそ優先順位を付けてスケジュールをコントロールしなければいけないと思ったのです。

まずは家族が最優先。その次にブランドのこと。そして自分の体調面。その後に家事。決して無理をしない。
そんな風に自分で自分のスケジュールをコントロールできる人になる。そこを意識するようになりました。

一番大切なものを守れない人間に何かを創り出すなんてできるはずがないと思うのです。

はじめからこうやって取り組めていたら、もっと最短で今の場所に立っていたのかもしれないけれど、私にとっては“しゃかりき”になって無理してやりこなした日々はとても良い経験になっているし、そのおかげで今までの経緯がリブランディングに一役買っていることも事実。
cherouiteというブランドにとって切っては切れない経験だったと思います。

優先順位……。

こうは言いながらついつい目先のことに走りがちですが、好奇心のままに突き進んでいるなと感じたときは一度立ち止まって周りのこと、半年先のこと、3年後の自分、最終的に描く理想像を思い出し、自分で決めた優先順位を見直す癖を付けたいと思います。


cherouite〜シャルウィット〜

切りっぱなしで仕上げた布のアクセサリー モロッコの伝統的なラグ、ボ・シャルウィットの 自由でカラフルなデザインとの出会いから cherouiteは始まりました。

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