商品誕生の秘話

先日のPOP UPで人気だったのがこちらのシリーズ。

「helical structure」

遺伝子螺旋図をイメージして製作したデザインです。
このアクセサリーを見たお客さまに、「どうやってこのデザインを思いついたんですか?」と質問されたことがあるので、こちらにも書いておくことにします。

本格的に活動が始まってから少し経った頃、とある野外のハンドメイドマーケットで出店していた際に、お客さまからこんな反応がありました。

「色合いとかはすごく好きなのに、このボンボンの丸いシルエットが自分には似合わない……」
何度も手に取りカワイイと呟きながら名残惜しそうに何も買わずに去って行ったお客さま。

そのとき私は自分が作るものに縦ラインを強調したデザインがないことに気づいたのです。

自分では意識していなかったので見落としていましたが、そう言われれば全部、丸く横に広がった形です。きっと私は丸っこいシルエットが好きなので、無意識のうちにそのようなシルエットのものを好んで作っていたのだと思いました。

そこで新たに縦ラインのデザインを作ろうと試行錯誤することに。

季節が夏だったこともあり涼しげなイメージでガラスのチューブ管の中にくるくると遺伝子螺旋図のように布を入れられたらカワイイなぁと思ったのです。

そこでガラスチューブ管を取り寄せ、あの手この手で布を形良く中に収めようと悪戦苦闘していたのですがうまくいかず、思い倦ねている私の横で旦那さんが「その布、ガラスの中に入れる意味はあるの?」と呟いたのです。

なんだかハッとしました。
暑い季節だったから涼しげにしなければと妙に季節感に囚われていた自分に気づき、ガラス瓶という枠を頭から排除して作ってみることに。

そして今の形ができあがりました。
一番最初に売り出したのは2019年7月。

それから使う接着剤やワイヤーの本数など何度かマイナーチェンジを繰り返しました。

分厚い布だと問題ないのですが薄い布になると接着剤が浮いてきて経年変化で変色するので、それを防ぐために何種類か接着剤を取り寄せ、試作を作って剥がれなどの強度もチェックしました。

ワイヤーは布のペラペラとした質感を損なわないよう太さがちょうど良い加減のものを見つけるまで、いくつか買って試作してを繰り返しました。

初めは“自由に形を変えられる”というコンセプトで売り出したため、器具を使わなくても手で変形が可能で形も保たれる固さにしていたのですが、変形せずそのままの形で使用される方ばかりだったため、強度を倍にしてそのままの形で使用してもらう今の仕様に落ち着いたのです。

こんな風に一つのシリーズを生み出すのに、たくさんの過程を経ているものづくり。

他のシリーズのものも手探りで少しずつバージョンアップしているのですが、お気づきになられましたか?

一つ一つのアイテムの裏側にストーリーがあります。

お客様の声や反応を見ながら改善すべきところは改善し守るべきところは守りながら、少しずつ認知を広げてみなさまに身近に感じてもらえるよう進み続ける。

時間はかかりましたがシリーズものとして作れる代表作的なものができたことは良かったなと思います。

ただコチラ、くるくるした布の中に通しているロングチューブのビーズがヴィンテージもので、もう手に入らないという状況に陥っております。

いろんな仕入れ先を探していますが、残っているのは限られた色味だけ。

せっかくみなさまに受け入れてもらえたデザインでしたが、いつまで作れるのか分かりません。

でもcherouiteのアイテムはすべて一点もので一期一会の出会いを楽しんでもらうというコンセプトですので、そこを踏まえた上で運命的な縁を大切にしていただければ幸いです。



cherouite〜シャルウィット〜

切りっぱなしで仕上げた布のアクセサリー モロッコの伝統的なラグ、ボ・シャルウィットの 自由でカラフルなデザインとの出会いから cherouiteは始まりました。

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