価格設定
“製作に要する時間と価格が見合っていない”
コンサルタントに言われたこの言葉に、自分でも薄々そのように感じていた私は、どうにかしなければと思っていました。
しかし今まで手の届きやすい価格で購入してくださっていた顧客様のことを考えると、なかなか踏み切れなかった。
というより引き上げる自信がなかったという方が正しいかも知れません。
“価格を上げたらもう誰からも購入してもらえなくなるのではないか”
“引き上げた価格に見合った商品を、自分は作れているのだろうか”
そんな思いばかりが先行して500円とか1000円とか、小さな値上げしかできませんでした。
けれど作る労力とかかる経費を考えると正直その程度、値上げしたところで焼け石に水。
仕事まで辞めて本気でこのブランドを育てていこうと決意したのだから、きちんと価格を引き上げる必要がありました。
お金の話をするのはいやらしいと感じていたので今まであまり触れてきませんでしたが、触れたくないこの部分がとっても大事だということは長くやっていると自ずと分かるようになってくるのです。
まずは自分が欲しい金額から逆算してブランド形成していくのが理想。
生々しく感じてしまうのでお金のことを一番最後に書いてしまったけれど本当は順序としては逆で、私もまず最初は価格設定からリブランディングしました。
私の最終目標は世の中に貢献できることをしながら自分も充実した生活を送ること。
相手だけでもなく自分だけでもなく、一緒に幸せになっていける事業がしたいと思っていました。
何の計画もなく漠然とこのようなことを考えていた頃は、まるでこの画像のように暗いトンネルの中を先に見える希望に向かって歩いていたような感じです。これも長引くと先の希望の光すら薄まっていく。
けれど今ではトンネルの暗がりはなくなり、都度都度やるべきことが見えてきている状態です。
話は戻り、最終的な大きすぎる(笑)目標を手にするには、まだまだ自分の人間性を鍛える必要があると感じていました。根っこがグラグラだと上にいくら積み上げてももろいですから。
そこで最終目標の達成時期を子どもたちも完全に独立する10年後に決めて、それまでの期間で自分に自信が持てるようになりたい。そのためには、このブランドで成功といえる結果を出す必要がある。
そう考えて2人目のコンサルタントに相談しました。
しかしそこで言われたことが「そこまで待つ必要がない」ということ。「10年後と言わず今すぐやりなさい」と。
で、他にもいろいろ言われ(それは2つ前の投稿で書いています)、「あなたのように見せかけではなく本当に経験を積んできた人は少ない。あなたならできる」と言われ、一度は奮起したものの冷静に考えて、やはり自分には今の自分ができることで地道にやっていく方が合っていると考え直したのです。
話が逸れましたが要するに欲しい成果から逆算して物事を進めていくことが大事で、やるからにはそれなりに成果も得たいと考えているなら(思い始めたのなら)、そこから本格的にスタートするべきだと私は思います。
最初に相談したコンサルタントの友人には、まずひと月に欲しい金額を出し、その金額を出すには今の価格の商品をいくつ作らなければいけないかを考えようと言われました。
そのときの価格設定で計算したら、とてもじゃないけれどそんな商品数は作れないと思いました。
機械を使って何人もの手を介し同じものを何個も一度に大量生産できる環境なら可能ですが、私の商品は一点もので一つ一つ作るのにとても時間がかかるのです。しかも製作から販売から発信から全部一人でやっている。
多くの人が見落としがちですが、商品を売るためにどのくらいの経費が掛かっているのか、細かいところまでよくよく考えると、もうそれ(ハンドメイドで利益を出すこと)は不可能に近い。
安い出店料のマルシェなどに出すにしても、そこまで行く交通費、向こうで飲み食いするお金、お付き合いで作家同士が商品を買いあったりする費用、何より一日中、立ちっぱなしで接客する自分の日当も考えると目に見えない経費は多分に掛かっています。
それも楽しみの一つと思える人は、それで充実感を感じてステキな活動だと思いますが、本当にそれが長く続けられることなのか一度立ち止まって考える必要があると思います。
またマルシェ出店をしているといろんな人脈がつながって、お店での委託販売の声が掛かったりもします。
一般的に委託料として売上の30〜50%を支払うところが多く、そこでの販売がメインになってきた場合、材料費や梱包代、仕入れるための交通費や輸送費を差し引いたら自分の手元にどのくらい残るでしょうか。
今の価格設定で、そのあたりの細かでリアルな数字をきちんと出してみる必要があります。
日本人は自己犠牲を美とする国民性です。私にもそういう思考があり、自分が得をすることが悪のように感じていた時期がありました。そのせいで正当な価格を付けられなかった。
けれど、その先には“続けられないので辞める”という選択肢しかありません。
独身でメインのお仕事があったり、結婚していてもお子さんがいなかったりすれば、まだそれでも自分が楽しみながらやっていけると思います。
やはりハンドメイドで販売するとなると仕事に出るのと同じくらいの時間を使うことになるので、活動が増えれば増えるほど家族に負担もかかってきます。
世界から見て日本の物価が安過ぎるという話を聞いたことがあります。
とても器用で誠実な国民性ゆえ、職人技とも言えるクオリティで商品が売られているにも関わらず、世界から見たらそれは破格なのです。
“なるほど”と思いました。私が悩んでいたことは日本が悩んでいることと同じなのかも知れない。
また話が逸れてしまいましたが、とにかく価格設定はしっかりと考える必要があります。
1つ前の投稿でも書きましたが、ターゲティングを実際に購入くださるお客様の層にシフトしたことで、さらにブランドとしてワンランク上を目指すことになりました。
そこで商品のクオリティだけでなく梱包など周りの部分も作り込む必要を感じ、そこに着手したわけですが、正直この専用BOXには一般的にハンドメイドをしている人には想像できないほどの費用がかかっています。
依頼した先のこともあるのでここでハッキリとした金額は出せませんが、箱代まで原材料費に入れてしまったら、とてもじゃないですが一般の人が買えるような金額ではなくなってしまうので、箱代として商品価格に入れているのは500円だけです。実際には一箱当たり500円では作れていません。
販売サイトやSNSなど直接、私から購入くださった方ならご存知だと思いますが、店舗での購入でない場合は専用BOXの有無を選択できるようにしています。
普通のクラフトBOXでの発送を希望される方には500円の箱代をお引きして購入いただいているのです。
ブランドとして作った箱の経費を商品の原材料として載せなかった理由は、ブランディングに使った費用は今後、自分で出した利益から捻出するという決意の表れでもあるのです。
明確な数字を出せていないのであまり伝わらなかったかも知れませんが、こんな風に言っている私も実はまだまだ遠慮がちな価格なのではないかと最近は思うようになりました。
cherouiteの商品の価格をご存知の方は、人によっては「まだこれでも利益が出せる値段じゃないの?!」と驚くかもしれません。
レベルの高いところに出店すればするほど販売にかかる費用も膨大になってきます。
そこも見越して、さらに先の目標のために今は種蒔きで耐える時期なのだと考えています。
自分が設定した目標到達までの道のり。
今後どうなるのか自分でも未知です。
ある意味、実験をしているような感じ。
こんな風にトライアンドエラーを繰り返して少しずつでも成長していけたらいいなと思います。
どうぞこれからのcherouiteを見守っていてくださいね。
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