ターゲティング
ハンドメイドで販売していく人なら必ず、どんな人に自分が作ったものを使ってもらいたいかという漠然としたイメージがあると思います。
ただ、それを安にターゲットとするのは得策ではありません。
私自身がそこにとても振り回されてしまったからです。
当初私はカラフルで大ぶりなアクセサリーはPOPなものが好きな若い世代の人たちが使うものと思っていました。
けれどそれは世間一般のイメージで実際には真逆だったのです。
若い人は周りと一緒のものを選ぶ傾向がありますし、どんなものにも合わせられてオールマイティに使えるシンプルで大人っぽいものを好む印象です。(すべての人がそうではないので言い方が難しいのですが、ここでは私が現場で見た一般的な印象の例としてあげます)
そして値段も手が出しやすい3000円までをイメージしているような気がします。
カラフルで大ぶり、個性的な一点もののこだわりアイテムは30代後半から50代前半の、遊び心を持った大人の女性が選ぶのだと、やっていきながら知ったのです。
それはよくよく考え自分を振り返ってもそうだった気がします。
ある程度の年齢になると世の中の流行りに自分が誘導されていることに気づきますし、高額なアクセサリーが必ずしも貴金属に限らないという見聞も広がっていきます。
そのため大人の女性は商品の持つ個性や作る工程、クオリティなどに目を向けて購入を決めるようになるのだと思います。
当初、自分がイメージしている人と実際に購入くださる人にギャップを感じて困惑したことを覚えています。
そこでターゲティングを実際に購入くださる層にシフトしました。
その方たちがお買い物する場所に並んでいて様になる、きちんとした形に仕上げることを目指し、作品のクオリティもさらに上がるよう試行錯誤しました。
それに合わせて新たに作ったのがコチラのお箱です。
商品自体のデザインや品質の良さも当然ですが、購入したときの満足感をさらに感じてもらうには周りを彩ることも大切だと、他の業種や商品を見て感じたのです。
いわゆる付加価値というやつ。
自分自身が買い物をするときもそこがしっかりとしていたら、商品に惚れ込んだ以上の充実感を得られる体験をしてきました。それをそのまま自分の商品にも取り入れたいと思ったのです。
まだまだ他にも手を加えるべきところはあると思いますが、ひとまず商品を安全に持ち帰るための箱は最優先。
そしてこの黒い箱を用意する前に作ったのが、この2つの新しいシリーズです。
ヴィンテージボタンのデザインは個展のときに発表したbotton meetingを進化させたもの。
コロナ禍で試験的に作ってみたのが好評でそのままシリーズ化にしたものでしたが、やはりこのアイテムがとても受けが良かったので、こちらを新しいターゲットに合わせてさらにパワーアップすることにしたのです。
ボタンの数を倍にして、先にぶら下げたタッセルもシルク製の超ロングに変え、スワロフスキーや天然石、シェルなどで装飾しました。
もう一つのシリーズはボンボンを鈴なりに連ねてスパンコールやフェザーで煌びやかにしたデザイン。
前の投稿でも少し触れましたが、こちらはミュージシャンやアーティストの方が舞台衣装として使うイメージでお作りしたシリーズ。
布という商材がどうしても貴金属には劣る印象なので、そこをいかにジュエリーという位置付けで見てもらえるかに挑戦したアイテムです。
単純なイメージとして、新たにターゲットとする人たちは百貨店、もしくはそれ同等のお店で買い物をする印象だったので、ひとまずそこに見合うものを作ることが目標でした。
ターゲットを変え周りの仕様を変え、価格を引き上げたことで離れていった顧客さんもいます。
離れていかずとも、今までは年に数回買えていたのが1〜2回に減る方も、当然ですがいらっしゃいます。
ただ、また新しくファンとなる人が増えたことも事実。
ターゲットを定め切ってそこに向けたアプローチをすることで、狙った層に届いたという結果が現れました。
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