成功への道を考察してみる

先日、野暮用で滋賀県まで行きました。

せっかくなので、どこかに観光をと思い、今(?)話題のラコリーナ近江八幡へ。

こちらの施設はバームクーヘンで有名なクラブハリエのたねやグループが作った場所で、広大な敷地に自然と融合するかのような草屋根の木造建築や畑があったり、はたまたグラフィティを模した壁がフォトスポットになっている近代的なエリアがあったりとユニークで不思議なところでした。

私としては焼きたてバームクーヘンを目当てに訪れたのでそれが食べられて満足だったのですが、なぜテーマパークでもなければ有名人がいるわけでもないこの場所に、これだけの人が集まるのかが理解できず頭の中が??ハテナ??だらけになったのです。
とても興味深く感じたので少し調べてみることに。

驚いたことに、こちらは2015年にオープンしたとのこと。
ここ2〜3年でテレビなどで取り上げられ全国的に知られるようになり話題になっていたので、てっきり最近できたものだとばかり思っていたら約7年も前に完成していました。

この施設のコンセプトなど詳細はHPなどを見れば分かるので、その辺は省略するとして……。

この場所がこれほど集客する理由は一つではないと感じました。

たくさんある理由の中で大きな一つは、私がここに来ようと思った“焼きたてバームクーヘンが食べられる”ということ。

クラブハリエのバームクーヘンを食べたことがある人ならそのおいしさを知っているので、その焼きたてが食べられるならと私と同じように思って訪れる人もいるはず。
そこにはファンを掴む商品力があります。

二つ目は先ほども言いましたが、テレビなどのメディアで多数取り上げられるように広報を仕組んだ宣伝力の大きさです。

この二つは誰が見ても分かる要因だと思います。

ただ、もしこのクラブハリエ(たねや)じゃなかったら、この二つが用意できたとしてもこれほど人は集まらなかったのではと思うのです。

では、この集客力はどのようにしてもたらされたのか。

その大きな要因の一つは、たねやさんがクラブハリエのバームクーヘンで全国的に有名になろうが、この地元“滋賀”から離れなかったということ。

自分たちの会社がなぜ今ここにあるのか、なぜ経営を続けるのか、そして未来に描くものは何なのか、この根本的な部分と徹底的に向き合ったことが大きな要因の一つだと思いました。

そして、そこで原点に立ち返り見出した理念を表現する場所を創造し、何も知らない私のような真っさらな人にもそれを共有できるよう、がっちりとしたブランディングをしたこと。これが大きな要因の二つ目だと考えます。

大切なのは、このブランディングの前にクラブハリエのバームクーヘンを世に知らしめるという思惑を成功させているということ。

……こう考えると経営というのは描く輪が大きくなるだけで、同じことを繰り返しているとも言えるのでは?と思うのです。

クラブハリエのバームクーヘンという商材を磨き上げ(顧客の目線に立った徹底的な商品開発)、そのバームクーヘンのおいしさを伝えるためのイメージ付け(ターゲットを絞り込んだブランディング)、丹念な根回しを施し人々への刷り込みを完了させる(関係各所への営業と資金を投入した宣伝力)

この一連の流れを繰り返し自社の想いを理解してもらう手順を細やかに施しファンを育て、地元滋賀県への恩返しという形に帰還したこと(ラコリーナ近江八幡という空間の創造)が、“持続可能”や“地産地消”などの現代のニーズに合致し、結果的に人々への共感を生んだという構図かと。

今のこの流れはクラブハリエのバームクーヘンが全国へ爆発的に話題になっていた真っ只中の当時には、きっと描けていなかったと思います。

あるのはただ最終的に至りたいビジョンだけだったのではないか……。

このビジョンを遂行するために時代に合わせて世相を読み、カメレオンのように臨機応変、自由自在に色(ブランドイメージ)や形(販売形式)を変えて対応(トライ&エラー)してきた結果ではないかと。

このように形を変えてもファンが追いたくなるまでにブランドを確立するためにはどうすればいいのか。

やはり一番初めに挙げた“商品力”が絶対に必要不可欠なのだと思います。

常にターゲットとしている人たちの求めているものを観察していち早く察知し、それに応えられる商品を開発する努力をすること。

定番となる商品の人気を不動のものにするために手を替え品を替え消費者を飽きさせないよう仕組んでいくこと。

個人経営だろうと、大手企業だろうと、このサイクルは同じなのだと思います。

現状に甘んじた時点で歩みは止まるのです。

常に上へ上へ。

今の自分では到底、到達できないと思われるビジョンでもいい。

今の自分が描ける最大のビジョンを常に頭の隅でもいいから描いて、そこに向かって弛まず歩みをすすめる。

クラブハリエほどの知名度のある企業ですら何年もかけてここに至るわけなのだから、一個人で動いているハンドメイド作家なら一足飛びに“バズる”なんて夢物語は描くべきではないのです。

私は経営やブランディングを誰かからしっかりと習ったことはありませんが、これはどんなことにも通ずる法則のように思いました。

cherouite にも立ち上げ当初から描いている大きなビジョンがあります。

日本の女性のこと、社会のこと、地球のこと。

ちっぽけな個人経営の一ブランドができることなんて大して大きくないかも知れませんが、ブレそうになるたびにいつもこの原点に返って、しんどいことでも意味があるのだからと乗り越えて来られたのだと思います。

ラコリーナ近江八幡のたねやさんみたいに大きなことはできませんが、私ができる最大限の世の中への恩返しをしたいと思っています。

一口、口に頬張れば笑みが溢れる。

たねやさんのバームクーヘンのように日本の女性に笑顔になってもらえる、そんな商品を届けられるよう私も今日からまた前を向いて歩みを進めたいと思います。

弛まず一歩一歩。

cherouite〜シャルウィット〜

切りっぱなしで仕上げた布のアクセサリー モロッコの伝統的なラグ、ボ・シャルウィットの 自由でカラフルなデザインとの出会いから cherouiteは始まりました。

0コメント

  • 1000 / 1000