目に見えないもので繋がる

人って不思議な生き物です。

言葉や文字を使って意思疎通しているのに目に見えない、言葉にならない思いが伝わるのだから。

私はスピリチュアルな人ではないけれど、人間性というものは隠しても隠しきれないものなんだと、長い人生で嫌というほど感じてきました。

あえて誰も手を付けない(欲しがらない?)切りっぱなし布という題材を使って作る小さなアイテムの中に、どれだけの思いを込められるか。

ハンドメイドしている人がよく使う“心を込めて一針一針”なんて表面的なものより、もっと奥深いものが必ず作品に現れると思っています。

迷いながら作ったもの、世の中に媚びて作ったもの、独りよがりで作ったもの、降ってきたようにひらめいて作ったもの……。

作るときの背景はそのときその場面でさまざまだけれど、どんな思いで、どんな状況で作ったとしてもワタシという人間がそこに在る。
だからものづくりをする人は人間性を磨かなければいけないと常に感じています。

じゃあ一体、“人間性を磨く”ってどういうことなのか。

そこを一言で言い表すことはできないけれど、あえて言うとしたら“とことん自分と向き合うこと”なんじゃないか、と。

ある程度のレベルまでいくとどんな分野でも頭打ちになることってあります。

それでもまだ見ぬ先へ先へ、さらにその先へ……。

追求すればするほど自ずと弱い自分、卑しい自分、才能のない自分、いろんな自分と向き合うことになる。
そんな“自分”と対峙して、精神的にやられて、諦めかけて、けどやっぱりこの先の景色が見たいと願う欲望と真摯に対話し、自分でも気付けなかった素晴らしい自分を見つけることで、それが自信になり確信になり、自分らしい道を突き進めるんじゃないか、と。

そしてまた先に進んだら壁が現れて……ずっとその繰り返し。

人と比べて落ち込んでいるうちは、まだまだ。

そんな人知れず重ねた苦悩は“誰かのために”昇華させてあげないと。

私の作るものには私が宿っていて、その私は誰かのために自分の命を使いたいと思っている。自分が自分らしく役立てることで。
それが今は、たまたまこのブランドを作ることだったんだと思います。

そしてその思いは作品を通して顧客様にも伝わっている気がして。うまく言葉にはできないけれど。

だから対面販売が一番好きだし、コロナになってからはDMなんかでやり取りするだけでも心を通わせることができる。

そうやって一つ一つの作品、一人一人の顧客様とご縁を繋げながら販売していくスタイルを大切にしていこうと思っています。

大量生産はできないけれど、少しずつそんな繋がりを広げていけたら……。

“誰かのために”、この一点を見失ったときにすべては崩れる。私の人生の教訓です。

cherouite〜シャルウィット〜

切りっぱなしで仕上げた布のアクセサリー モロッコの伝統的なラグ、ボ・シャルウィットの 自由でカラフルなデザインとの出会いから cherouiteは始まりました。

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